なつかしい友人に会ったような…
先日、書店で偶然阿部謹也さんの「自分のなかに歴史をよむ」という本(ちくま文庫、2007年。初刊本は1988年に筑摩書房から刊行)を見つけて、購入しました。30年ぶりくらいに阿部さんの本を読んで、(もちろん直接のお知り合いではまったくないのですが)なつかしい友人に会ったような気持ちになりました。
この本にはヨーロッパ中世の社会史を独特の視点で研究されてきた阿部さんが、どのようなことを考えて、このテーマにたどりついたのかが、子ども時代の一時期を過ごした修道院の施設のことも含めて、ご苦労の多かったであろうご自身の生い立ちから記述されています。
阿部さんの恩師である上原先生の「それをやらなければ生きてゆけないというテーマを探すのですね」という言葉が印象的です。
中世史を考える視点についても面白く読めますが、過去の歴史を考えることが、様々な歴史のしみこんでいる現在に生きる自分自身と向き合うことになる、ということも伝わってきます。読み物としても面白く読める一冊です。
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